この記事の要点・目次
- 家具の材料表示が示すのは主に「表面材」で、内側にどんな板が入っているかは別に確かめる必要があります。
- 「無垢材」は表示に使える用語ではなく、規程では「天然木」「天然木単板」「天然木化粧合板」などの決められた言葉で書かれます。
- 表面・内側・使い続け方の三つに分けて読むと、材料の違いを品質の上下ではなく用途の違いとして比べられます。
家具を選ぶとき、「無垢材」「突板」「合板」といった言葉に迷うことがあります。どれも表面には木目があり、見た目だけでは見分けがつきません。
違いは、木をどこまで使っているかにあります。無垢材は板の厚み全体が木、突板は薄く削いだ木を別の板に貼ったもの、合板は薄い板を重ねて接着したものです。そして家具に付いている材料表示は、この違いをどこまで教えてくれるのか。読み方を知ると、売り場での比べ方が変わります。
家具の表示が答えるのは「表面材」まで
たんすや机、椅子は、家庭用品品質表示法にもとづく雑貨工業品品質表示規程の対象です。消費者庁が示す一覧表では、たんすの表示事項として外形寸法、表面材、表面加工、取扱い上の注意、表示者名と連絡先が挙げられています。机やテーブルでは甲板の表面材、椅子では構造部材や張り材、クッション材が対象になります。
ここで注目したいのが「表面材」という言葉です。たんすの場合、表示されるのは正面の材料名で、側面が異なるときは正面と側面それぞれについて示します。つまり表示は、目に見える面に何が使われているかを答えるもので、その内側にどんな板が入っているかまでは約束していません。

さらに、表面材に使える言葉は規程で決められています。「天然木」「天然木単板」「天然木化粧合板」「天然木化粧繊維板」「プリント紙化粧合板」「合成樹脂化粧パーティクルボード」などが指定用語で、これら以外の言葉では表示できません。このうち天然木単板は、天然木を薄く削いで作った板を指します。なお日本産業規格(JIS A5905)に定めるMDFを用いるものは、「繊維板」に代えて「MDF」と表示できるとされています。
気づくのは、「無垢材」がこの一覧にないことです。日常でよく使われる言葉ですが、規程上の表示用語ではありません。商品説明で見かけたときは、規格にもとづく表示なのか、売り手の説明なのかを分けて読むとよいでしょう。表面加工の欄には、ポリエステル塗装やウレタン樹脂塗装といった仕上げの種類が書かれます。
無垢材と突板は、天然木の使い方が違う
木の板そのものを使うのが、いわゆる無垢材です。丸太から製材した板で、厚みの全体が同じ木でできています。表面を削り直せば新しい面が出てくるため、長く使いながら手入れをする余地があります。

一方の突板は、天然木を薄くスライスしたものです。建材メーカーの大建工業は、突板を0.2mmから0.6mm程度に薄くスライスしたものと説明し、合板やMDFの表面に貼り合わせた突板合板として使われることが多いとしています。規程の言葉に置き換えると、天然木単板を表面に貼った板が天然木化粧合板や天然木化粧繊維板にあたります。

見た目が近いのは当然で、表面に出ているのはどちらも本物の木だからです。違いは厚みの使い方にあります。無垢材は反りや割れが起きうる代わりに削り直せる。突板は一枚の原木から広い面積を作れる代わりに、表面を深く削ることはできない。どちらが上というより、木のどこを活かすかの選び方が違います。
合板の日本農林規格では、化粧単板を「木材質特有の美観を表すことを主たる目的とした単板」と定義し、表面または表裏面に化粧単板を貼り合わせたものを天然木化粧合板としています。美観のための薄い層と、板を支える構造とを分けて考える。これが表示を読むときの土台になります。
内側にある板を、三つに分けて知る
表面の下には、家具を支える板があります。よく使われるのが合板、繊維板、パーティクルボードの三つです。
合板の日本農林規格は、合板を「ロータリーレース又はスライサーにより切削した単板を三枚以上、主としてその繊維方向を互いにほぼ直角にして接着したもの」と定めています。繊維の向きを交互にして重ねるのが要点です。林野庁の森林・林業白書は、この構造によって狂いや反り、割れが起こりにくく強度も安定し、大きな面積の板を生産できると説明しています。

繊維板は、木材を繊維状にほぐして板に成形したものです。なかでも中密度のMDFは、建築のほか家具・木工、住宅設備機器などに使われると白書は挙げています。木目がないため表面が平らで、塗装や突板を貼る下地に向いています。

パーティクルボードは、白書の説明では「細かく切削した木材に接着剤を添加して熱圧した板製品」で、遮音性や断熱性、加工性に優れるとされます。小さな木片が見える断面が特徴です。

接着剤を使う板では、ホルムアルデヒドの放散量も確認したい点です。合板の日本農林規格は放散量の区分としてF☆☆☆☆、F☆☆☆、F☆☆、F☆を設け、それぞれ平均値0.3、0.5、1.5、5.0mg/L以下と定めています。星が多いほど放散量の基準が厳しい区分です。
表示を読んで、使い方から選ぶ
ここまでを整理すると、家具の材料は三つの層に分けて確かめられます。表面材と表面加工の表示、表示の対象外である内側の板、そして買ったあとに使い続ける方法です。

表面は、傷や熱、水への強さに関わります。表面加工の欄にあるウレタン樹脂塗装などの記載は、どんな仕上げがされているかの手がかりです。内側の板は、重さやねじの効き、組み立て時の扱いやすさに関わります。表示に書かれていないことも多いので、仕様欄やメーカーの説明を別に探すことになります。
使い続け方も、材料と同じくらい判断の材料になります。表面を削り直せるのか、扉や引き出しの部品を交換できるのか、修理の窓口があるのか。長く使う前提なら、材料の名前より、こうした受け皿の有無が効いてきます。
大切なのは、表示が品質の順位ではないことです。規程は使える言葉を定めているだけで、どの材料が優れているかを示すものではありません。広い面を均一に仕上げたいなら突板や化粧板が向き、削り直して使いたいなら厚い木の板が向く。用途が違えば答えも変わります。
次に家具を見るときは、値札の隣にある小さな表示を探してみてください。「天然木化粧繊維板」と書かれていれば、表面は薄い天然木、内側は繊維板。その一行から、どんな板が組み合わさっているかが読み取れます。言葉の意味がわかると、選ぶ理由も自分の言葉で説明できるようになります。
出典・参考資料
- 消費者庁「家庭用品品質表示法 雑貨工業品品質表示規程 たんす」 ↗確認日:2026.09.24
- 消費者庁「家庭用品品質表示法 雑貨工業品一覧表」 ↗確認日:2026.09.24
- 農林水産省「合板の日本農林規格」(最終改正 平成26年2月25日農林水産省告示第303号) ↗確認日:2026.09.24
- 林野庁「令和2年度森林・林業白書 木材製品の種類と用途」 ↗確認日:2026.09.24
- 大建工業 建築用語集「突板」 ↗確認日:2026.09.24
画像の出典・利用条件
- ものづくりジャーナル編集部:家具の表面材として表示できる指定用語と、それぞれが示す材料の構成を並べた図 ↗
編集部制作図版。規程の指定用語の記述をもとに新規作図。原典の表の転載・トレースなし。確認日:2026.09.24
- Sondich / Wikimedia Commons:木目がそのまま通った厚みのある木の板を積み重ねた様子 ↗
CC BY-SA 4.0(掲載写真にも適用)(ライセンス)。Commons提供の原寸画像を幅1200pxに縮小しWebPに変換。色補正・トリミングなし。確認日:2026.09.24
- Neri.jp / Wikimedia Commons:薄くスライスされた木の板が何枚も重ねて置かれている様子 ↗
CC BY-SA 3.0(掲載写真にも適用)(ライセンス)。Commons提供の画像を幅800pxに縮小しWebPに変換。色補正・トリミングなし。確認日:2026.09.24
- Bystander / Wikimedia Commons:合板の小口を接写し、薄い単板が奇数枚重なっているのが見える写真 ↗
CC BY-SA 3.0(掲載写真にも適用)(ライセンス)。Commons提供の画像を幅935pxに縮小しWebPに変換。色補正・トリミングなし。確認日:2026.09.24
- Vaderluck / Wikimedia Commons:繊維板(MDF)の表面と小口を写した、木目のない均一な板 ↗
CC BY-SA 3.0(掲載写真にも適用)(ライセンス)。Commons提供の画像を幅1200pxに縮小しWebPに変換。色補正・トリミングなし。確認日:2026.09.24
- D-Kuru / Wikimedia Commons:パーティクルボードの表面を接写した、大小の木片が固まった模様 ↗
CC BY-SA 3.0 Austria(掲載写真にも適用)(ライセンス)。Commons提供の画像を幅1200pxに縮小しWebPに変換。色補正・トリミングなし。確認日:2026.09.24
- ものづくりジャーナル編集部:表面、内側、使い続け方の三つに分けて材料を確かめることを示した図 ↗
編集部制作図版。表示事項の構成をもとに新規作図。原典の転載・トレースなし。確認日:2026.09.24



