この記事の要点・目次
  • 2024年の製造品出荷額等は愛知県が1位、大阪府が2位、静岡県が3位です。
  • 対象は個人経営を除く一定条件の製造事業所で、品質や利益、働きやすさの順位ではありません。
  • 実績年・調査年・公表年が異なり、前年との比較には母集団の更新にも注意が必要です。

製造業の規模を都道府県で比べると、どこが上位に来るのでしょうか。総務省・経済産業省の「2025年経済構造実態調査」による2024年の製造品出荷額等は、愛知県が約59.31兆円で1位、大阪府が約19.80兆円で2位、静岡県が約19.77兆円で3位です。

ただし、これは出荷などの金額を比べた順位です。製品の品質、企業の利益、就職先としての魅力を示すものではありません。何を数えた統計なのかを確認してから、47都道府県を見ていきます。

2024年の実績を、2025年の調査で集計している

この記事で使うのは、2026年7月29日に公表された「2025年経済構造実態調査 製造業事業所調査」の地域別統計表・第1表です。「2025年」という調査名ですが、製造品出荷額等が対象にする期間は2024年1月から12月まで。2026年の足元の景気を表す数字ではありません。

対象は、個人経営を除き、管理や補助的な経済活動だけではなく、製造品目ごとの出荷額が得られた事業所です。表の「全事業所」はこの条件の中での全体を指します。すべての工房や個人事業者を含む、という意味ではありません。調査対象事業所からの報告をもとに全体を推計しています。

本社の所在地による企業ランキングでもありません。東京都に本社を置く企業が別の県の工場で生産していれば、事業所ごとの実態を地域に分けて捉える統計です。産地の規模を考える入口として使える理由は、この集計単位にあります。

製造品出荷額等の都道府県ランキング、全47都道府県

全国計は381兆6,540億円余りです。愛知県はその約15.5%を占め、2位の大阪府のおよそ3倍にあたります。愛知県の産業紹介でも、同じ調査に基づく愛知県と大阪府の額を確認できます。

次の図は上位10都府県です。棒の起点をゼロにそろえ、金額の差を示しました。大阪府と静岡県はともに約19.8兆円ですが、丸める前の公表値では大阪府が上回ります。

2024年の製造品出荷額等の上位10都府県。愛知が59.31兆円で大阪と静岡は約19.8兆円
2025年経済構造実態調査・地域別第1表の2024年実績から編集部で作図。金額は兆円、小数第2位まで。棒は丸める前の値に比例し、ゼロ起点。写真・画像:ものづくりジャーナル編集部 / 編集部制作図版

表は元の公表単位である百万円の値を降順に並べ、金額だけを億円に換算して小数第1位まで表示しています。同じ公表値なら同順位とし、次の順位は人数分進めます。今回の47都道府県には同額はありません。全国シェアは公表された全国計を分母に計算し、小数第1位に丸めました。丸めたシェアの合計は100%と一致しない場合があります。

順位 都道府県 製造品出荷額等(億円) 全国シェア
1 愛知県 593,143.9 15.5%
2 大阪府 198,048.7 5.2%
3 静岡県 197,716.2 5.2%
4 兵庫県 194,947.7 5.1%
5 神奈川県 187,058.8 4.9%
6 千葉県 159,870.5 4.2%
7 埼玉県 153,069.2 4.0%
8 茨城県 152,066.0 4.0%
9 三重県 130,242.8 3.4%
10 福岡県 114,988.9 3.0%
11 広島県 112,751.8 3.0%
12 群馬県 103,517.6 2.7%
13 岡山県 99,407.7 2.6%
14 栃木県 98,185.2 2.6%
15 滋賀県 94,292.3 2.5%
16 東京都 94,053.9 2.5%
17 長野県 73,906.1 1.9%
18 山口県 73,491.5 1.9%
19 北海道 69,602.5 1.8%
20 岐阜県 69,454.5 1.8%
21 京都府 63,929.3 1.7%
22 宮城県 58,334.1 1.5%
23 福島県 57,852.2 1.5%
24 大分県 57,448.4 1.5%
25 愛媛県 57,329.0 1.5%
26 新潟県 56,115.9 1.5%
27 富山県 42,505.1 1.1%
28 熊本県 36,766.3 1.0%
29 岩手県 34,231.2 0.9%
30 香川県 33,726.0 0.9%
31 石川県 32,385.7 0.8%
32 山形県 31,269.9 0.8%
33 山梨県 29,112.0 0.8%
34 福井県 26,936.5 0.7%
35 和歌山県 24,993.6 0.7%
36 鹿児島県 24,914.0 0.7%
37 徳島県 23,900.0 0.6%
38 長崎県 23,543.6 0.6%
39 佐賀県 23,257.8 0.6%
40 奈良県 20,611.9 0.5%
41 宮崎県 19,139.8 0.5%
42 青森県 17,509.8 0.5%
43 秋田県 16,296.4 0.4%
44 島根県 13,789.9 0.4%
45 鳥取県 9,173.5 0.2%
46 高知県 6,486.8 0.2%
47 沖縄県 5,165.7 0.1%

元の47都道府県の公表値を足すと、全国計より1百万円小さくなります。利用上の注意には、金額を丸めているため内訳と合計が一致しない場合があるとされています。ここでは全国計を独自に補正せず、公表値をそのまま使いました。

出荷額の大きさから、直接はわからないこと

出荷額が大きい地域と、事業所の数が多い地域は、必ずしも一致しません。同じ統計表で比べると、出荷額1位の愛知県は17,695事業所、2位の大阪府は17,995事業所です。大阪府の事業所数は愛知県より300多く、出荷額とは大小が逆転します。

従業者数は愛知県が835,442人、大阪府が438,245人です。ただし、事業所数と従業者数は2025年6月1日時点、出荷額は2024年の1年間と、数字が捉える時点・期間が異なります。単純に割って、その年の1人当たり生産性とみなすことは避けましょう。

工場の集まり方を知りたいなら事業所数、働く人の規模を知りたいなら従業者数を確認します。どの産業が多い地域かも合わせて見ると、金額だけでは見えない違いを考えられます。

また、金額には製品価格の影響が入ります。同じ数量を出荷していても価格が変われば額は変わるため、金額の増加をそのまま生産数量の増加とは読めません。材料を仕入れる費用などもあるので、出荷額の大きさと、そこで新しく生み出された価値の大きさも別です。

年の比較にも注意点があります。今回の2024年実績は、令和6年経済センサス‐基礎調査の結果を反映した新しい事業所の母集団で集計されています。前年分の参考再集計も同時に公表されました。以前の公表表から前年値を拾い、そのまま伸び率を計算すると、事業の変化と集計条件の変化を混ぜるおそれがあります。本記事では都道府県間の同じ年の比較に範囲を絞っています。

ランキングから、地域の作り方へ進む

この表で捉えられるのは県全体の金額です。県の中で、どの町がどんな製品や工程を担っているかまではわかりません。小さな産地の専門性や、完成品になる前の部品・加工の役割も、県単位の順位だけでは見えにくくなります。

たとえば、燕三条の金属加工は、燕と三条の製品や工程の違いから読むと理解が進みます。東大阪の工場ネットワークでは、一社で製品のすべてを作るという発想から離れ、企業同士の分業に目を向けられます。

石の上に置かれた、黒い刃と木製の柄を持つMasashi Kokuenのペティナイフ
新潟県三条市で作られたMasashi Kokuenのペティナイフ(2026年3月撮影)。県単位の金額から、個々の製品や作り手へ目を向ける一例です。2024年の統計対象製品であることを示す写真ではありません。写真・画像:© Frank Schulenburg / Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0(掲載画像も同ライセンス)

「どの県が大きいか」を統計でつかみ、次に「何を、どう作っているか」を地域や製品から確かめる。二つの見方を行き来すると、順位を覚えるだけでは見えなかったものづくりの姿が見えてきます。

出典・参考資料

  1. 総務省・経済産業省「2025年経済構造実態調査 製造業事業所調査」地域別統計表 第1表(2026年7月29日公表) ↗(新しいタブで開く)確認日:2026.10.01
  2. 同調査「利用上の注意」 ↗(新しいタブで開く)確認日:2026.09.27
  3. 愛知県「あいちの魅力(産業構造・事業環境)」(2026年8月12日更新) ↗(新しいタブで開く)確認日:2026.09.27
  4. カバー写真:MaedaAkihiko「Keihin-Industrial-Area.jpg」 ↗(新しいタブで開く)確認日:2026.10.01
  5. カバー写真の利用条件:CC0 1.0 ↗(新しいタブで開く)確認日:2026.10.01

画像の出典・利用条件

以下は元画像の説明と利用条件です。配信用に縮小・形式変換を行い、一覧では表示枠に合わせて一部を切り取って表示しています。

カバー画像

川崎市浮島町から南西を望む京浜工業地帯(2024年5月撮影)。写真は撮影当時の姿です。写真:MaedaAkihiko / Wikimedia Commons(CC0 1.0)。縮小・WebP変換。表示枠では一部を切り取り表示。

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  1. ものづくりジャーナル編集部:2024年の製造品出荷額等の上位10都府県。愛知が59.31兆円で大阪と静岡は約19.8兆円 ↗(新しいタブで開く)

    編集部制作図版。出典の記述・公表数値に基づき新規作図。原典の画像・図版の転載やトレースなし。確認日:2026.09.27

  2. © Frank Schulenburg / Wikimedia Commons:石の上に置かれた、黒い刃と木製の柄を持つMasashi Kokuenのペティナイフ ↗(新しいタブで開く)

    CC BY-SA 4.0(掲載画像も同ライセンス)(ライセンス(新しいタブで開く))。上下をトリミング・縮小・WebP変換した既存掲載画像を再利用。追加加工なし。確認日:2026.10.01

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