この記事の要点・目次
  • 2025年度の建設機械・車両事業では、部品とサービス等の売上が計1兆9,647億円。外部顧客向け売上の52%を占めました。
  • 販売後の需要を支えるのは、稼働・修理の履歴を使った整備の提案と、部品を届ける供給体制です。
  • リマンは、主要部品を回収・再生して交換用に供給する事業。コマツは北米の供給力を強めるため、2026年にリマン事業を買収しました。

コマツは、新しい機械を売った後も、交換部品を届け、整備や修理を支えています。2025年度の建設機械・車両事業では、部品とサービス等の売上が計1兆9,647億円。外部顧客向け売上の52%を占めました。

製品を販売した後の部品やサービスを「アフターマーケット」と呼びます。コマツの事業を知るには、新車を何台売るかに加え、販売済みの機械をどう動かし続けるかを見る必要があります。その仕組みを、決算と、使った部品を再生する「リマン」からたどります。

機械本体に並ぶ、部品とサービスの売上

コマツの2026年4月28日の決算説明資料は、建設機械・車両事業の売上を本体・部品・サービス等に分けています。対象は2025年4月から2026年3月までの、外部顧客向け売上です。

本体の売上が1兆8,314億円なのに対し、部品とサービス等を合わせた売上は1兆9,647億円でした。販売後の仕事が、機械本体に並ぶ売上を生んでいます。

区分 2025年度売上高 決算で読み取れること
本体 1兆8,314億円 機械本体の販売に関わる売上
部品 1兆552億円 交換などに使う部品の売上
サービス等 9,095億円 サービス等の売上。すべてを修理料金とはみなせない
合計 3兆7,961億円 建設機械・車両事業の外部顧客向け売上

部品とサービス等の合計を、対象売上3兆7,961億円で割ると約51.8%。会社の公表値52%と整合します。これは建設機械・車両事業の売上構成で、金融事業や産業機械などを含む連結全体の比率や利益率とは区別して読みます。

長く使う機械を、データと部品供給で支える

コマツの鉱山機械は、購入した後も長く使われます。コマツレポート2026が示すライフサイクルの目安は約10〜15年。本体を買い替える前にも、消耗部品の交換や主要部品の修理が必要になります。

新車を買う需要と、すでに持っている機械を使い続ける需要は、発生する時期が異なります。販売済みの機械に対する部品供給と整備は、その後の事業になります。使用期間は機種や使い方により変わり、10〜15年はすべての機械に保証された寿命ではありません。

土砂を運搬する黄色いコマツHM300アーティキュレートダンプトラック
コマツHM300の資料写真(2017年4月14日、オーストリア)。車体と足回りを見られます。鉱山向け超大型車やリマン作業、本文の業績を直接示す写真ではありません。写真・画像:JoachimKohler-HB / Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0(掲載画像にも適用)

部品を売るには、必要な部品を必要な場所へ届ける体制が要ります。コマツレポート2026は、機械ごとの開発・生産・稼働・修理履歴を管理し、定期的なメンテナンス、補給部品の販売、オーバーホールの時期の提案などにつなげると説明しています。オーバーホールは、機械や部品を分解して点検・修理することです。

履歴を使って交換や修理の時期を考え、必要な部品を供給し、整備につなげる。データを扱う仕事と、現物を届けて直す仕事を組み合わせるのが、この事業の仕組みです。ここでは会社の事業説明をたどっており、顧客の停止時間をどれだけ短縮したかを示す実測値は扱いません。

リマンで、使った部品を次の交換へ回す

コマツのリマンは、使ったエンジンやトランスミッションなどの主要部品を再生し、交換用に供給する事業です。「Remanufacturing(再製造)」の略で、部品の回収から再生、再供給までをつなぎます。

  1. 使用した機械から主要部品を回収する。
  2. 分解・洗浄し、傷んだ部分を修復して再生する。
  3. 再生した部品を交換用のユニットとして供給する。

国内のコマツカスタマーサポートも、エンジンや油圧シリンダなどを再生ユニットへ交換するサービスを提供しています。使用中の機械へ交換用部品を供給する仕事と、回収した部品を次に使える状態へ戻す仕事がつながります。

コマツは、重要な部品を自社で開発・生産していることをリマン事業の強みとしています。設計と、使用後の劣化に関する知識を再生や開発の見直しへ生かすという説明です。機械本体を作る技術が、販売後の部品を供給する事業にも関わっています。

供給体制を広げる動きもあります。コマツは2026年2月5日、100%子会社のコマツアメリカを通じて、米SRC of Lexingtonの建設・鉱山機械用部品のリマン事業を買収すると発表しました。発表時は完了予定でしたが、4月28日の決算説明資料とコマツレポート2026では、買収済みと説明されています。

SRC of Lexingtonは、コマツが2009年に北米リマン事業を譲り渡した際に設立され、その後も重要な供給先だった企業です。今回の買収について、コマツは、北米で販売済みの機械が増え、リマン需要への対応と供給力の強化が必要になったと説明しています。動いている機械を支える拠点も、メーカーの投資先になるわけです。

売上のつながりと、利益を左右する費用を読む

コマツの部品・サービス等の売上構成は、販売後も需要が続く事業の厚みを示します。一方、それだけで利益が安定するとは判断できません。2025年度のコマツは、連結売上が前年比0.7%増の4兆1,328億円となる一方、営業利益は13.7%減の5,673億円でした。

同年度の建設機械・車両事業について、コマツは、価格改善の効果があったものの、物量減、構成差、米国関税による原価増などの影響で減益になったと説明しています。これは会社の決算上の説明であり、アフターマーケットだけの利益の増減を示すものではありません。

販売後の需要を売上につなげるには、機械の稼働、部品の供給、整備や物流の費用を追う必要があります。アフターマーケット単独の利益は参照資料では確認できず、52%という売上比率から採算の良しあしまでは判断できません。

コマツの事例からわかるのは、メーカーの仕事が製品の出荷後にも続くことです。企業研究では、誰に機械を売るかに続けて、使っている機械に何が必要になり、誰が部品とサービスを届けるかを追う。そのつながりが見えると、売上構成と投資の目的を理解しやすくなります。

出典・参考資料

  1. コマツ「2025年度決算説明会」2026年4月28日、4・5・32・51ページ ↗(新しいタブで開く)確認日:2026.10.13
  2. コマツレポート2026「事業概要」15〜18ページ ↗(新しいタブで開く)確認日:2026.10.13
  3. コマツ「米国 SRC of Lexington社のリマニュファクチャリング事業を買収」2026年2月5日 ↗(新しいタブで開く)確認日:2026.10.13
  4. コマツカスタマーサポート「コマツリマンユニット」 ↗(新しいタブで開く)確認日:2026.10.13
  5. カバー写真:High Contrast「Komatsu excavator」(2009年8月) ↗(新しいタブで開く)確認日:2026.10.13
  6. カバー写真の利用条件:CC BY 3.0 DE ↗(新しいタブで開く)確認日:2026.10.13

画像の出典・利用条件

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カバー画像

コマツPW75R(2009年8月、ドイツ)。写真:High Contrast / Wikimedia Commons、CC BY 3.0 DE。幅1600pxに縮小・JPEG再圧縮。トリミング・色補正なし。

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  1. JoachimKohler-HB / Wikimedia Commons:土砂を運搬する黄色いコマツHM300アーティキュレートダンプトラック ↗(新しいタブで開く)

    CC BY-SA 4.0(掲載画像にも適用)(ライセンス(新しいタブで開く))。幅1600pxに縮小・JPEG再圧縮。トリミング・色補正なし。確認日:2026.10.13

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